平成22年度「公認スキー指導者制度 ステージU・公認スキー準指導員検定会」・「公認スキーB級検定員検定会」検定員講評
例年にない不安定な天候の中での実施となり、コートの変更等、大変ご迷惑をおかけしたことをまずもってお詫び申し上げます。しかしながら、本来、大自然を相手にするスポーツであるスキーの指導者資格の検定であることに立ち戻れば結果としてベストな状態で検定ができたとも理解できます。 自然の変化に対応する幅広い技術の習得が重要であることが再確認できたように思いました。
さて、教程が変更された最初のシーズンであったため情報不足で大変だったかと思います。検定団も昨シーズンの中央研修会・ブロック研修会・養成講習会等で十分研修し、皆様にご迷惑のかからないように新教程の理解に努めてまいりました。中心執筆者の市野先生の下、理論、実技ともにジャッジにおける意思統一を図ってまいりました。今回は、自然で楽なスキーのコンセプトである、1)「重さで滑る」、2)「両脚で滑る」、3)「谷回りで滑る」を骨子として、いわゆる「スキーの 巧さ」だけに視点をおくのではなく、たとえ粗野であっても、「谷回り」のメカニズムが表現できている演技を高く評価をさせていただきました。
今回、みごと合格され指導者の仲間になられた方は、新しい視点(自然で楽なスキー)で指導活動をしていただきたいと思います。また、残念な結果となった方は、今回の経験を糧にし、来シーズンに向けて教程を理解し理論と実技を両輪として確実な演技ができるようお願いいたします。又、最後になりましたがスキー場関係者の方々には、素晴らしい検定コートを提供していただきましたことを心より感謝いたします。
検定員講評(A班) 検定員:中谷 祐次・高井 郁寿・山口 実男・富田 宗市
A班は、A単位「谷回りの原則的な運動」、B単位「パラレルターン小回り」、C単位「フリースタイル リズム変化」の計3種目をジャッジいたしました。
「谷回りの原則的な運動」では、ニュートラルポジションがとられていないまま(中心軸で)谷回りを行おうとするため、谷スキーのインエッジが角付けされ、谷側への落下運動が生起せず、結果的に外スキーからターンを行う滑りになってしまった受検者が多く見受けられました。ニュートラルポジションは、谷回りで滑る現教程のベースとなりますので、正しく理解し、実践していただきたいと思います。
「パラレルターン小回り」では、抜重回旋や外スキーへ交互に荷重してターンを行うことにより、谷回りが殆どなく山回りのみの滑りとなってしまった受験者を多く見受けました。A単位「谷回りの原則的な運動」がB単位の各種目のベースとなっていることを理解して練習してください。
「フリースタイル リズム変化」でも、パラレルターン小回りと同様に谷回りが殆どない滑りや、全体にターン弧が小さく、中回りから小回りのリズム変化になっている受検者が多く見受けられました。
検定員講評(B班) 検定員:西本 成寿・菅嶋 康浩・久野 裕司・浅田 薫夫
B班は、A単位の「制動技術 横滑りと停止」、B単位「パラレルターン 大回り」、C単位「フリースタイル(実践滑降)小回り」の3種目をジャッジしました。
「制動技術 横滑りと停止」ですが、谷スキーに荷重がない、正確なポジションにいないためスキーが安定しない、上体だけの運動となっている、左右の完成度に大きな差があるといった滑りには厳しい評価をしました。安定した横滑りには適度な外向傾姿勢が必要となります。両スキーの前後差や高低差を確認し、今一度基本姿勢の確認と、十分な練習をお願いします。停止する際も、横滑りから体の向きを変え、力の向き、スキーの進行方向を変えて停止するよう、練習をお願いします。
「パラレルターン 大回り」は濃霧で視界不良という条件でしたが、スピードがコントロールされ、受験者のポテンシャルが発揮されたのではないかと思います。A単位の「谷まわりの原則的な運動」の要素で演技された方を評価しました。具体的には内脚に重みが感じられなかった滑りには厳しい評価を致しました。
「フリースタイル(実践滑降)小回り」も内脚に重みが感じられなない、内足踏み替え操作、シュテム操作となっている滑りには厳しい評価をしました。粗野でもフォールラインを絡めた、左右均等な円い弧を描く運動を実践された方を評価しました。普段から積極的に滑り込んで実践力を高めて頂きたいと思います。