全日本スキー連盟中央研修会参加レポート

市川真澄(ブロック技術員)

研修風景2004年度全日本スキー連盟中央研修会が11月29日から12月1日の3日間にわたり、群馬県鹿沢スノーエリアにおいて開催されました。会期中、時期はずれの暖かさと降雨で条件は良くありませんでしたが、理論研修、実技研修とも予定通り行われました。

第1日目は、開会式の後、コーディネーターである増田千春氏から「教育本部の組織目的としてのスノースポーツの普及と振興」に関する本年度の方針についての説明があり、指導員検定の名称変更の意義、既刊の教程の今後の整理統合、指導員検定における理論問題の出題範囲、実技実施における条件設定などについて述べられました。

続いて、実技担当の大谷陽一氏から、「スキー技術のしくみ」に関する説明があり、スキーの横軸方向の落下を生じさせるために、トップコントロールではターン内側の股関節の外旋的動作と体幹の内向が必要であり、テールコントロールではターン外側の股関節の外旋的動作(この動作をしないとターン後半において除雪抵抗のためスキーのトップがターン内側に入り、トップコントロールになってしまう)が必要であることが示され、さらに、重力の斜面成分の力を活用したスキーコントロールが重要であることが述べられました。

雪上講習ニュートラルポジションの確認

第2日は、雪上で市野聖治氏の解説により新教程の理解に関する実技研修が行われました。最初にニュートラルポジションの確認をした後、ターン内側の股関節の屈曲により身体の内側への傾きを起こし、内スキー外側トップ部分への荷重によってスキーの横軸方向への落下を生じさせることによる山回りターンを行いました。次に、内スキートップをターン内側へ抜重回旋させることにより内スキー主導のターンの始動についての練習を行い、連続回転をする場合には、次のターンに対して早めにニュートラルポジションをとる必要性があることが説明されました。

グループディスカッション実技研修の後半は、検定種目におけるテールコントロール、トップ&テールコントロールおよびトップコントロールに関するスキー運動の確認が、ナショナルデモ、SAJデモの演技を中心として行われました。実技研修の最後に、県単位の小グループに分かれ、雪上で実技研修および理論研修における問題点等のディスカッションが行われました。

昼食後には、市野聖治氏によって新教程の理解に関する理論研修が行われました。研修内容としては、スキーの運動は体幹部意識、特に股関節を意識することが重要であることや、ターン内側の股関節軸とターン外側の股関節軸の二軸運動感覚が大切であることが述べられました。また、ターン運動の原因と結果に関して、水平面への荷重と角付けでターンが生じることが述べられ、さらに、スキーの公転運動によって生じた「みかけの力としての遠心力」の作用により、水平面が仮想的な傾斜を生じ、特にターン後半においてスキーヤーはその仮想的な傾斜水平面上(相対水平面)でニュートラルポジションをとっていることが予測され、ターンの進行とともにその相対水平面が重力に直角な面(絶対水平面)に近づくことから、スキーヤーは実際の切り替え期よりも早い時期からニュートラルポジションを意識する必要性を示唆されました。

市野聖治氏理論研修第3日は、午前中、理論研修が行われ、西日本ブロックおよび東海北陸ブロックの各グループから前日に話し合われた研修会の問題点等に関する発表が行われました。最後に、奥田英二氏と市野聖治氏から総括として今回の中央研修会実施の意義についての説明があり、閉会となりました。