ブロック技術員選考会およびSAA委員研修会参加レポート
鈴木文男(SAA委員)
愛知県スキー連盟 平成16年度行事の締めくくりとしてSAA初めての試みであるブロック技術員選考会とSAA委員研修会が、4月3日から4日にかけてウイングヒルズ白鳥リゾートスキー場で開催されました。満開の桜に後ろ髪を引かれつつ向った奥美濃では、小糠雨に包まれたゲレンデに春の訪れを感じるものでした。
選考会並びに研修会は約30名の参加者で開催され、開会式では斎藤二郎教育本部長を初め市野SAJ 専門委員、一柳教育部長、梶田イグザミナーから昨今のスキー界の動向や全日本スキー連盟の技術評価の観点の移り代わりの説明があり、このような変化のなかで愛知県スキー連盟は何を目標にどのような方向を目指して進むかの説明がなされた。具体的にはスキー界に限ったことではないが、インターネットを始めとする情報伝達の手段が普及し一般スキーヤーにも全日本スキー連盟の指針がリアルタイムに伝わるようになってきている。様々な目的を持ったスキーヤーの心の満足度を満たすために愛知県スキー連盟はどんなことができるのかを今一度確認する必要がある。ブロック技術員、SAA委員といえども基本的にボランティア活動の上に成り立っているものではあるが、組織の目的を把握し目標を掲げプロ意識を持つ必要がある。一般的な情報だけではなく、刺激的なヒントや提案を発信し、受け手側と相互に成長していくことができれば、送り手側の心の満足度を高めることができる。
理論講習の中では、講師と参加者が対話形式でSAA委員の役割・目的の確認や新しいスキー教程を根幹とした技術体系に対する考え方などの討論が行われた。また、先日の全日本スキー技術選手権大会のビデオを見ながら、技術の移り変わりを確認するとともに、評価の観点がどのようなものかという説明がなされた。その中で、全日本のジャッジについてもまだまだ新教程の理解が正しく浸透していない部分もあり、更なる理論の理解をしなければならないと感じた。スキー技術を体系的に考えたときに、個々の技術に無駄なものはなく、臨機応変に技術を使い分けることが大切である。その中で道具の進化に伴って脚光を浴びてきた技術もあり、成長段階の技術には予測できないスキーの楽しさにつながる可能性を秘めていると考えられる。愛知県スキー連盟としては、今までの技術を否定するのではなく未知の可能性を秘めている成長段階のスキー技術に対して試行錯誤しながら進化するという意気込みで取り組むという所信表明があった。
理論講習を終えてから、ブロック技術員、SAA委員としての抱負や、新スキー教程に対する理解度。また愛知県スキー連盟が発展・進化するためには何が必要かという趣旨で各自の考えを記述するレポートの提出があった。
翌4日はみぞれ交じりの雪が降る中、実技講習を兼ねた実技選考が行われた。種目設定は、中斜面でのテールコントロール・プルークボーゲン、中斜面の大回り、小回りの3種目である。プルークボーゲンでは、雪質も含めてテールコントロールには難易度の高い状況のなかで、ターンの外側へ二軸運動で荷重ができているかという着眼点で評価が行われた。選考を行いつつ疑問点に対する質疑応答がおこなわれたが参加者全般的にもう一度技術の理解を共有することが大切だと感じた。大回り、小回りでは、ガスも発生し視界の悪いなか最大のパフォーマンスを求められることとなり、安全を確保しつつ各自日頃の技術を打ち出していた。
全体を通してブロック技術員・SAA委員として求められるものとSAAの今後の方向性を再確認できた行事であったと感じる。SAJの推奨するスキー教程を根幹として新しい技術を探求し、活用することで今までよりも大きなスキーの喜びを得られるように自ら変化(進化)することがまず求められていると感じる。