第2回SAJイグザミナー選考会参加レポート
梶田洋象(SAJイグザミナー)
第2回SAJイグザミナー選考会が東京都津田塾会館で開催され参加しました。おかげさまで2期目の認定を無事受けることがきましたことをご報告させて頂きます。以下に選考会で行われたことについて、私の理解できる範囲でレポートさせていただきます。
◆理論研修1:平川仁彦理事・副本部長
テーマ:イグザミナーの役割についてSAJにはすべての人にスキーを指導・普及するという役割があり、良い指導者を養成することは重要な課題である。良い指導者とは技術体現、指導法など直接指導にかかわるスキルだけでなく規約規定に精通し、団体運営、行事運営、リスクに対するマネージメントや外部団体に対するアドバイスなどもできるという意味である。
イグザミナーには、そのような指導者養成の教官的役割も求められ、これに基づいて新たな資格整備構想があり、その中心的な役割を担って貰う旨の説明がありました。
◆理論研修2:市野聖治イグザミナー委員会委員長
テーマ:スキーの技術について
昨年スキー教程が改定され、様々な指導現場からの反応が得られた。その理解は充分になされなかったように感じられた。また、解り難くかったということも多く聞かれた。
これまでは、スキー技術がスキーヤー本人の感じる内観や主観を元に表現されていたが、今改定では物理を基礎とした客観的な表記やそれが外観として現れるものへと変わったため、今までとは異なった視点であったことが解りにくいものになってしまった一つの原因であろう。
しかし、宮里藍を代表とする昨今の女子ゴルフ界では、新しい道具や環境に基づいた新しい技術の隆盛を迎え、その対応に実績のあるトッププロですら数年計画で取り組もうとしている。
この例にもあるように、スキー界の新しい取り組みとして、現在のスキー教程をよく理解し習熟する方向に向かわなければならない。そして、進化してゆくスキー教程でなければならないと説明があった。
◆理論研修3:増田千春クラブ振興部部長
テーマ:スキー検定について
指導員検定について今後の課題として
- 公認スポーツ指導者制度の改訂
平成17年度改訂実施
準指導員、指導員、教師(すべて仮称)資格について - 単位制導入後未修得単位に対して確実なフォローアップができているか?どのようにしているか?
- 年々指導員受検者数が減少してきている。準指導員合格者は指導員受検者の3倍ほどである。準指導員合格者に次の目標として、指導員受検に繋げていくためにはどうしたらよいか?
といった内容であった。
年度 | 受検者 | 合格者 |
平成12年 | 1476 | 921 |
平成13年 | 1303 | 833 |
平成14年 | 1234 | 762 |
平成15年 | 1158 | 703 |
平成16年 | 1086 | 730 |
◆理論研修4:大谷陽一スクール振興部部長
テーマ:全日本スキー技術選手権大会運営に関して
主要点
- スポンサー
- ユーザー接点
- 要項に沿って運営、管理
- 選手、ギャラリーの安全管理
- 要項に対する運営プラン作成
- イベント性と競技性のバランス
来期予選方式案について述べられた。
◆理論試験
内容はスキー技術に関してであった。
- スキー技術の考え方
- トップコントロールにおける回転モーメントの発生要因
- ターン時における内傾がおこる原因
などを中心に出題され、スキー教程の基本的理解ができているかが問われた出題であった。
単にイグザミナーの試験とか資格試験の理論試験ではなく、スキー運動やスキーの動き、働く力をしっかり理解し、その背景にある「原因と結果」「手段と目的」といったプロセス的な思考を進めていくことも重要だろうと感じました。関係者の皆様にもあらためてよく熟読、理解されることが必要ではないかと思います。
◆実技試験
VTRによって映されたスキーヤーの滑りに対して筆記によるコメント形式であった。
具体的には同一人物の2年前と今年の滑りを比較し、何がどう変わったのか、その原因は、目的はといったコメントが要求された。
◆グループディスカッション
小グループに別れて実技試験で見たスキーヤーの滑りについてディスカッション形式で意見交換をした。 このディスカッションで、県やブロックにおいてジャッジする人同士が、このような場を設け、技術の理解を深めてゆくことが必要であると感じました。
◆合格発表
厳しい選考の結果14名のイグザミナーが選出されました。再選されたことに驚きと不安を感じながら、前期よりも更に積極的にスキー界の発展に寄与していければと考えています。
スキーを取り巻く環境は大変厳しいですが、今後、各県連やブロックの皆様にもご協力頂きながら頑張ってゆきたいと思いますのでよろしくお願い致します。同時に、今回推薦して頂きました名城スキークラブ、愛知県スキー連盟の皆様にご報告と御礼を申し上げます。