教育部委員研修会参加レポート
加藤智幸(ブロック技術員)
平成16年11月7日(日)愛知教育大学保健・体育棟1Fにおいて、教育部専門委員及び委員を対象としたSAA教育部委員研修会が行われました。
委員研修会開催にあたって
まず、教育本部長 斉藤二郎氏から本研修会実施の目的が示された(この会が平成17年度の指導員研修会及び各行事を実施するにあたり、技術理論の理解と意見交換を通して、誤りがなく自信をもって行動して頂くことを目的としたこと)。
つぎに、教育部長 一柳達幸氏から行事運営における具体的なお願いがあった(各委員の資質向上とサービス向上、更には自身の技術向上も含めて努力頂きたい旨のお願い)。以上のご挨拶を頂きミーティングに移行。
<スケジュール>
10:00〜12:40 市野聖治 SAJ専門委員による講義
14:00〜16:00 技術理論に対するディスカッション
講義内容(市野聖治 SAJ専門委員)
まず、平成16年度SAJ教育本部研修会テーマからの反省を踏まえて、どのようにしてターン運動を起すのかという観点から、「感覚・イメージでスキーを表現する主観・内観的部分」と、「理論的にスキーを表現する外観・客観的部分」との間にあるズレ(壁)「スキーの壁」が認識され、互いをどのように結びつけるかについての解説があった。市野先生は、旧技術と新技術を持つ二人の女子プロゴルファーの具体例と「学習のタイプ」分けからこのことを解説されました。
今後我々がいかに技術を高めていくのか、このテーマに取り組んでいくことで新たな革新的な指導法が生まれてくるのではないか、そして具体化させていく上で指導者の謙虚さや柔軟な発想が必要ではないかと思いました。これらのことはスキー技術の「新しいパラダイム」となり、今後スキー界が革命的に変化していくために必要なことだと強く感じました。
次にターン運動を導き出すスキーヤーの身体運動の理解について解説された。
スキーは「頭」で考え、「頭と体」で感じ、「身体」で実践することから、人間のエネルギー(司令塔)→自然のエネルギー(エンジン)→スキーのエネルギーをトータルで考える必要がある。ターンを導きだす重力による落下運動を外力とし、効率的に活用するため、身体運動がこれら自然エネルギーを効果的に活用していくべきものであることがわかる。
ただし、技術の習熟度が低いスキーヤーの場合や意図してスキー操作を優先した場合などはスキーヤー自身の筋力を積極的に活用することが効果的に対応できる場合もあることを視野に入れておく必要があることを説明された。
本年度はスキーヤーがターンに必要な操作や運動を水平面に対する荷重角付け「外」と「内」、「抜重・回旋」と簡略的な表現にすることで「3つのターンコントロールの原因と結果」を解かり易く説明している。このことは、切り換えから谷回りを含んだターン全体を表現し、ターンのメカニズムを理解するために必要な説明であると思った。
身体運動から見たターンの発展では、馬の右回りの例をあげて左右どちらの脚が先行するかの説明があり、2軸運動(重心が移動)と2軸操作(重心が移動しない)の違いから体幹部と各関節の関係を理解しました。
技術理論に対するディスカッション
ディスカッションに入る前に、小室ブロック技術員より今シーズンの行事運営に関して、事前準備から事後処理までのタイムスケジュール等詳細な説明があり、全ての役員が行事の運営をできるよう標準化を進めていく旨説明がありました。続いて一柳教育部長より、個人データの取り扱いに関する注意と、先日開催されたSAA評議員会での報告事項がありました。研修会等の行事を受講される方々への発言には慎重に責任を持って行って頂きたい旨説明があった。
“ディスカッションテーマ「内スキー主導と外スキー主導の説明」”
掲題のテーマより5名の方に参加者全員に対して自分なりの解説を披露し、どのような説明をしたら理解を得られるのか討議がなされ、各自活発な意見交換がありました。このことは、講師になられる方々のレベルアップにも繋がり、理解した内容を押し付けないためにも色んな考え方から学ぶべきであること、演繹的でなければならないことを再認識させられました。
最後に、オブザーバーとして参加された石原清史(愛知学校スキー協議会)氏よりミーティングの感想と、内容の違う視点から意見を述べることの大切さ・知識を伝える難しさを聞き、今後、指導法の工夫を痛感致した次第です。