平成17年度教育部委員研修会実技@参加レポート

肥田満裕(ブロック技術員)

さる11月27(土)〜28日(日)岐阜県・鷲ヶ岳スキー場で教育部委員研修会(教育部専門委員と委員を対象、参加総数41名)が行われました。当日は残念ながら積雪には恵まれませんでしたが、造雪機をフル稼働させて作られた本格的なゲレンデ(1500m x 30m)は、実技研修を行うには好条件でした。

今回の研修会のテーマ

昨シーズン末におこなわれたブロック技術員選考会から今シーズンに向けて合わせて3回の理論研修を積み、着実に準備を進めてきた成果を雪上で試せるという期待感は皆さん一緒だったようです。一方、理解した滑りが実際に可能なのかどうかという不安を抱えた初滑りにもなりました。

今回の研修会の重点課題は、(財)全日本スキー連盟の教育本部の最新の研修会・検定会情報を会員の皆様に正しく伝えるため、今後のスキー情報、理論・技術の理解と実践を、共通の理解の下で行うためのものでした。

また、地域性を考慮した愛知県スキー連盟として必要と思われる独自のスキー情報や理論・技術を提供し、会員の皆様がそれぞれのスキーライフを継続的に満喫していただくためのお手伝いをすることも視野に入れて実施されました。

本格的なシーズンスタートとなる東海・北陸ブロック技術員研修会を前に、このような研修会が行えたことはとても喜ばしいことだと感じました。

今回の研修会の特色

11月19日から群馬県・鹿沢スノーエリアで行われた(財)全日本スキー連盟教育本部主催のコーディネーションコース・中央研修会の内容などが市野聖治SAJイグザミナー委員会委員長、梶田洋三SAJイグザミナー、佐藤二郎SAJ専門委員、一柳達幸SAA教育部長の説明により、実技実習を通して行われたことは、今後への取り組みが明確となったという意味では、とても有意義な2日間でした。

1日目は梶田イグザミナー、佐藤専門委員、一柳教育部長の下、ビデオ撮影を取り入れながら「ターンの原因と結果」の理解に費やされました。撮影されたビデオは夕食後、研修材料として提供されました。

2日目の本年度公・準指導員検定種目の確認作業は、委員が実際に検定種目を滑る中で行われました。自分の理解を滑りに表し、評価されるという緊張感の中で行われました。個々の委員の滑りに対し、参加委員からさまざまな意見や注文がでるという白熱したディスカッションになりました。これまでにない面白い取り組みでした。

この作業の中で、滑りの問題点に対する具体的な取り組み方にまで言及し、指導方法のバリエーションや理解を深めるという意味ではとても有意義な作業だったと思います。と同時に、指導員として自分たちの理解を滑りとして表し、言葉にして第3者に伝える難しさを改めて認識させらました。個々人の課題も明確になったという意味では大変良かったと思いました。

この研修会で明確になったポイント

プルークボーゲンやプルークターンなどテールコントロール系の低速技術の始動期でおこなう抜重回旋動作に違和感をおぼえる者の疑問点が抜重回旋の動作定義と従来の抜重動作の定義の違いから発生していたことが確認できたと思う。

このことは今まで身につけてきた荷重、抜重の定義がターン進行方向から外側スキーの側方にかかる抵抗を重さの定義と同様に考えていたためと思われた。新教程ではターンの原因と結果の第一要因が、スキーへの「重力に従った荷重と水平面への角付けによりターンする」と理解すると、先に述べたターン側方からの抵抗は優先されないことになる。

「荷重と角付け」の定義に大きな差があることが確認でき情報の共有化ができたことは大変有意義であった。はじめの一歩が違えば進む距離が変わり見える景色も変わることと同様に、あたりまえの運動感覚に大きな壁があることを確認できたことで「改善の第一歩が踏み出せた」と思いました(これらのことについて研修会で是非ご確認ください)。

反省

昨年度のスキー教程の全面改訂があまりにもセンセーショナルであることの認識不足が、これまで目に見えない大きな「スキーの壁」を作ってしまっていたように感じます。

今回の実技をとおして、まだまだ私たちにもこの大きな壁が存在し、壁を乗り越える努力が不足していたのではないかと考えさせられました。この壁の前で怯むのではなく、乗り越えていくのが私たち委員の責務であり、指導現場に携わっていく人たちだと思います。責任を強く感じると同時にシーズンインを目前にし、残された準備期間が少ないという焦りも感じました。できうる限り万全の準備で会員の皆様にお会いできるように委員同士で確認し合いました。

最後に

スキー界の活性化を考えたとき、スキースポーツの振興に携わる者として、私たち教育部委員の取り組みや振る舞いが重要であることを再認識できました。襟元を正し真摯に意見に耳を傾け、考え、そして言葉にし、実践していくことが重要であることを感じました。「いいシーズンであった」と会員の皆様に言っていただけるように、心機一転取り組んでいきたいと思いました。

今回の研修にあたり、素晴らしい環境をご提供いただきました鷲ヶ岳高原ホテルレインボー・鷲ヶ岳スキー場の関係者の皆様には大変お世話になりました。心より感謝いたします。今後のますますのご発展を祈念いたします。