平成16年度愛知県スキー技術選手権大会ジャッジ講評

梶田洋像(SAJイグザミナー・競技委員長)

梶田洋像・SAJイグザミナー・競技委員長

全体的に大会を見させて頂いた感想を述べさせて頂きます。最初に、すばらしい環境を提供頂いたスキー場関係者の方々、また研鑽を積まれて大会に臨まれた選手の方々、選手をサポートされた方々、そして運営に携わられた連盟役員の方々に、大会の成功と感謝を述べさせて頂きます。

今回はご存じのように全日本スキー技術選手権で実際にジャッジをされている細野博、浜辺秀樹という両イグザミナーを決勝審判に御呼びして可能な限り全日本大会の判定に近い物を提供致しました。多忙な中、駆け付けて頂いた両イグザミナーに改めて感謝を申し上げます。

今回は若い選手の対応力による台頭が目立ち、勢いを感じさせるものであったと感じています。大会に於いて気が付いた事を述べさせて頂きます。

T.状況対応

A) 設定されたバーンに対しての対応
今回の決勝小回り急斜面フリーに使用されたバーンは諸々の状況があり、比較的 難易度の低い状況が用意されました。その為、確実な操作をしながらもスピードが要求されることは明白です。決勝総合滑降においても、非常にフラットでエッジのかかりも良い割に雪面が荒れない、さらに後半緩斜面に移行する状況でしたので当然かなり高いスピードの中での高いコントロール能力とゴールゾーンまでスピード維持が要求される訳ですが、全体的にスピード不足が目立ちました。

B) また、フラットな雪面フェースを提供されている中では、完成度の高いトップコントロール寄りの滑りが比較的評価される事になりました。

U.身体ポジション

A) 決勝中斜面人工ウェーブに顕著に現れていましたが、斜度、更に言えば斜度変化対応が一つの重要なポイントになりますが、そのような対応をされている方には 高い評価が出ていました。ベースとなる斜度、ウェーブによる斜度変化、スピード及びターン弧によるポジション変化という要素を十分理解される事を望みます。

B) ベースとなるポジションが全体的に後ろにあるように思われます。その為、特に小回り系において加重角付という基本的なスキー動作が行われずに左右に角付けの切り替えだけになっている方も多く見受けられました。

V.種目、技術の理解度

A) 今、そこで何を求められているのか理解されている方に高評価がされています。乱暴な言い方かもしれませんが今回は比較的若手選手に理解されているようで した。現スキー教程に書かれているようにカービング系つまりトップコントロールによる操作という観点から見てそれが自然に求められる整地とか、カービング要素と指定されている種目ではその差が大きく付いたようです。

B) 一部ベンディング系の切り返スタイルで滑られる方に多く見られたのは、抱え込み送り出しまたは上体を固定してひざの切り返しのみによる操作が多く見られた事は残念でした。カービング=ベンディングという図式は必ずしも当てはまるものではありません。形だけでなくスキー、雪面に対して加重、角付けを確実に行う事が求められている事をご理解下さい。

C) それぞれの種目に対して求められる物を再確認して頂きたいと思います。予選不整地小回りや決勝規制小回りに見られるように理解をしてすばらしい成績を挙げられた方も見られます。逆に総合滑降においてスピード不足はある意味致命的でもあります。

予選不整地小回り

全体的に見て、強く感じられる事は一つの技術カテゴリーに縛られている方が多く感じられました。前に述べたように状況によってどのような技術を利用するか、またその幅が広く、高い方ほど完成度が高く対応力に優れたスキーヤーと言えます。技術の優劣ではありませんが、カービング要素を指定されていてもそれまでの 技術しか使えない、トップコントロールに対応できていない方はそれだけ技術の幅が狭いと言えます。

全日本、東海北陸大会に向け、また次年度の本大会に向けて更なる研鑽を積まれてチャレンジをされる事を大いに期待し、次年度のこの大会でお会いできる事を楽しみにしています。

今回は全日本における観点、評価と同等と言っても過言ではないジャッジを提供する事を目標として、それを提供する事ができた事を細野、浜辺両イグザミナーに感謝しますと同時にジャッジ一同、同評価をさせて頂きました事をここに報告致します。

関連項目

平成16年度愛知県スキー技術選手権大会